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2013年7月29日 (月)

ただの空想とは言い切れないから怖い・・深海のイールの話

深海のイール

3年ほど前に友人から借りて、あまりの面白さに返す気になれず、

借りっ放しで3度目の読破に挑んでいる、超大作。

 

登場するのは、

クジラ、クラゲ、ロブスターなど、一見よく知る生き物たちと、

彼らに絶滅の危機へと追いやられようとする人間たちだ。

 

よく知る と書いたが、

人間を攻撃するコククジラやザトウクジラ、シャチといったら、

悪魔にとりつかれたような冷酷さと非情さで、

まるで別の生き物だ。

 

それもそのはず、

これらの生き物は、私たちにとっては全く未知の、

地球「内」知的生物に心身を乗っ取られ、

本来の彼らと姿は同じでも、

全く違う生き物と化していたのだ。

 

この知的生物の名が、Yrr(イール)

その名をつけたのは、主人公の一人だ。

 

当初は目的のわからない彼らの行動に翻弄され、

相次ぐ惨状を手をこまねいてみていた世界中の科学者たちは、

徐々に悟っていく。

「これは、自然を破壊し、消費し尽くそうとする人間への報復だ」

 

海洋資源の乱開発、各種汚染、資源の乱獲など

思い当たる節が多すぎて、

もしもイールのような知的生物が地球に密かに同居していたとしたら、

この星を保全するために人間を排除しようすることも、

ありえなくはないかも・・と、怖くなる。

 

メタンハイドレート、気候変動、ホエールウオッチングなどなど、

耳慣れたキーワードも、真実味を加えている。

 

海洋に関する科学者たちが実名で登場し、

当時の最先端科学の知識をあますところなく盛り込まれていることも、

本書の魅力のひとつ。

 

 

もちろん空想小説だが、

下地になっている背景は空想ではない。

まぎれもなく、人間活動がこの地球にひきおこしている現実だ。

 

私たちが、今の生活を奔放に続けたなら、

地球に、そしてひいては人間に、

どんな未来が待っているのだろう?


願わくばずっと、海の生き物達と出会える地球であってほしい。


Unknown

最近はやりの、深海も主要な舞台。

NHKの番組をみながら、

本書に登場する科学者達が、繰り返し語る言葉を思い出した。

「深海は、宇宙よりも、さらに謎に満ちている」

 

笹森 琴絵

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